作成日:2023年12月5日 更新日:2024年01月23日
【あなたはしっかり摂取できてますか?】タンパク質が美肌づくりに必要な理由
『タンパク質を摂ると、肌が綺麗になるって聞いたけど本当なの?』
『タンパク質って1日どのぐらいの量を食べれば良いの?』
昨今の、フィットネスブームの影響もあり、トレーニングだけでなく、栄養に関わることを認知されつつあるのではないでしょうか。
その中でも、意識してタンパク質をしっかり摂取しようという風潮は、良い傾向だと思います。
それはタンパク質は筋肉はもちろん、肌の原材料になり、美容には欠かせない大切な栄養だからです。
しかし、日本人はタンパク質が不足しやすい傾向にあるので、食事でタンパク質を摂ることの重要性が、もっと広がれば良いなと思うこの頃です。
今回のブログでは、タンパク質を摂取することの重要性と、正しい摂取の仕方について、これまで多くの人のダイエットをサポートして来た経験と、解剖学・生理学・栄養学の知識を織り交ぜ、わかりやすく解説していきます。
目次
タンパク質を摂取すると美肌になる
タンパク質を正しく摂取することで、肌が綺麗になり、美肌を手に入れることができます。
タンパク質と美肌、一見関係がないように思われますが、非常に密接な関係があるのです。
冒頭で、タンパク質は髪・爪・皮膚を形成すると、紹介したように肌はタンパク質から作られます。※1
肌のターンオーバーは約6週間と言われており、顔はそれよりも早く皮膚が入れ替わると言われています。※2
このターンオーバーが起こる際に、タンパク質が不足してしまうと、新しい皮膚を形成することができず、肌がカサついたり、ハリや艶が失われてしまうのです。
そうなってしまうと、年齢以上に老けた印象を持たれてしまいます。
以前、当施設に通われていたお客様から、「どんなに高い化粧品を使うよりタンパク質を摂取することが大切だということがわかりました」と、言われたことがとても印象的でした。
このことからも、美肌を手に入れるためには、しっかりとタンパク質を摂取する必要があります。
タンパク質は何から摂取すれば良いのか?
タンパク質は、動物性タンパク質と植物性タンパク質の2種類あります。
この2つのタンパク質は特徴も異なるので、その違いを理解しながら摂取することが重要です。
動物性タンパク質
動物性タンパク質は、肉・魚・卵・乳製品に多く含まれるタンパク質のことをいいます。※1
身体にとって重要な必須アミノ酸がバランス良く含まれているというのが特徴です。
また、ビタミン・亜鉛などのミネラルやオメガ3脂肪酸などの栄養素が豊富に含まれています。
食事の疎かになったり最近、話題になるヴィーガンの人は、これらの必要な栄養素が不足してしまうので、身体に不具合が起こってしまうのです。
詳しくは、別のブログ記事で説明しているので、参考にして下さい。
アミノ酸
タンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されており、必須アミノ酸と準必須アミノ酸の2種類に分けられます。※3
必須アミノ酸
ロイシン・イソロイシン・リシン(リジン)・メチオニン・フェニアルアラニン・スレオニン(トレオニン)・ヒスチジン・トリプトファン・パリン※3
9種類のアミノ酸を指し、これらは体内で合成することが出来ないので、食事から補充しなければならないという特徴があります。
ヒスチジンは体内で作ることが出来ますが、合成速度が遅いので、食事から摂取した方が効率的です。※4
また、バリン・ロイシン・イソロイシンをBCAAと言ったりします。
BCAAは筋肉や血液中にあり、筋肉の分解を抑えたり、運動中にエネルギーとして使われたりするので、トレーニング前やトレーニング中にサプリメントで摂取することが勧められています。
準必須アミノ酸
チロシン・システイン・アスパラギン酸・アスパラギン・セリン・グルタミン酸・グルタミン・プロリン・グリシン・アラニン・アルギニン※3
11種類のアミノ酸を指し、体内で、糖質や脂質から作りだすことができるというのが特徴です。
植物性タンパク質
植物性タンパク質は、穀類・フルーツ・野菜・キノコ・海藻などに含まれます。
植物性タンパク質は必須アミノ酸が少ないという、特徴があり補うためには相当量のタンパク質の摂取が必要です。
タンパク質を摂取する時は、含まれているミネラルやタンパク質量が異なるので、動物性・植物性のタンパク質をバランス良く摂ることが重要になります。
タンパク質は質も重要
タンパク質の量をしっかり摂ることができるようになったら、タンパク質の質も意識してみましょう。
質の良いタンパク質を見極める為に、参考になるのがアミノ酸スコアです。
アミノ酸スコアとは、100に近ければ近いほど、必須アミノ酸がバランス良く含まれているタンパク質を表す指数になります。※5
代表的な食品のアミノ酸スコア紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。
アミノ酸スコア | 食品 |
100 | 牛肉・豚肉・鶏肉・魚類・大豆・卵・牛乳 |
91 | プロセスチーズ |
84 | 里いも |
68 | ジャガイモ |
65 | 精白米 |
50 | みかん |
48 | トマト |
美肌のためにタンパク質は1日どのぐらい摂取すべきか?
1日にどのぐらいの量の、タンパク質を摂ると良いのか?悩まれる人もいらっしゃると思います。
書籍や有識者によっても、どのぐらいの量を摂るするべきか表現が異なります。
生活環境(ストレスが多い・少ない)、目的(ダイエット・健康増進)、妊娠の有無なども考慮しなければなりませんが、18歳以上の女性は目安として50g /1日を基準にすることがオススメです。※6
これは、日本食品基準成分表2020年版(八訂)を参考にしています。
十分にタンパク質が摂れていると、爪の伸びる速度が早くなる傾向になります。
逆にタンパク質が不足していると、爪の真ん中に線が入ります。
実際に、当施設に通い始めてタンパク質を意識するようになって爪の伸びが早くなったと実感される方は多いです。
逆に、以前カウンセリングに来られたお客様で、ヴィーガンの方がいましたが、動物性タンパク質を摂らないという、タンパク質が不足してしまい、爪に線が入っていました。
女性であれば、1日50gを目安にして、体調の変化や爪の変化を意識することをオススメします。
日本人はタンパク質が不足気味
日本人は栄養素の中でタンパク質を摂取する量が、年々不足している傾向にあります。※7
データでも、95年にピークを迎え、2000年以降は減少し、2015年から微増していますが、戦後の貧しい時代とほぼ同じ水準になっているのがわかります。※7
あなたが直近で食べた物を、振り返ってみて下さい。
3大栄養素に当てはめると、ほとんどの食べ物が糖質や脂質の物が多いのではないでしょうか?
現代社会は、糖質と脂質のもので溢れかえっているので、食事で意識的にタンパク質を摂取しようと思わないと、自然とタンパク質の量が減ってしまうのです。
プロテインを有効活用しよう
タンパク質を摂取することは大切だと、理解していても食事でタンパク質を摂るのが難しいという人は、プロテインをうまく活用しましょう。
最近では、コンビニやドラックストアなどで、手軽に入手することができるようになりました。
「朝は食事をしない」「朝はコーヒーだけ」という人は、1日を通して身体にとって大切なタンパク質が不足しやすくなってしまいます。
家に常備しておいたり、通勤途中で手に入れて、しっかりタンパク質の摂取できる環境を整えることが大切です。
様々なプロテインがありますが、高価なプロテインを選ぶ必要はありません。
高価なプロテイン、有名ジム、有名人が監修しているプロテインでも、コンビニで売っているプロテインでも優劣はないのです。
プロテインを選ぶ時のポイントは
- 飲みやすい
- コストパフォーマンスが良い
この2つだけで十分です。
プロテインをうまく活用しつつ、1日に必要なタンパク質の量を確保できるように心がけましょう。
腸内環境も大切
ここまでタンパク質の摂取に関することを中心に説明しましたが、腸内環境も大切になります。
腸内環境によって、タンパク質の吸収率が左右されるからです。
悪玉菌が優位にあるとタンパク質の吸収率は悪くなり、善玉菌が優位にあるとタンパク質の吸収率も向上します。
腸内菌として
- 善玉菌:2
- 悪玉菌:1
- 日和見菌:7
3種類の菌が、上記の比率で存在しています。
日和見菌は割合の高い側の見方をするので、タンパク質が無駄なく、吸収されるように、腸内環境を善玉菌が優位になっていることが重要です。
そのためには、オリゴ糖や食物繊維を摂ることが必要になります。
タンパク質の吸収率を上げるためにも、腸内環境も意識するようにしましょう。
美肌を加速させるため
美肌のために、食事でタンパク質を摂取することは大切ですが、さらに美肌を促進させるため重要な、生活習慣をご紹介します。
- 筋トレ
- 睡眠
- マッサージ
これらについて、解説します。
睡眠
美肌のために睡眠は非常に重要です。
睡眠中に、肌の新陳代謝を促す成長ホルモン※8と、老化を防ぐ抗酸化作用が強いメラトニンの分泌が盛んになります。※9
逆に睡眠不足に陥ると、疲れが取れずにボーッとしてしまい、新陳代謝が悪くなり、肌がボロボロになりやすく、顔の印象も老けて見られてしまうのです。
そうならない為にも、睡眠は6時間以上確保するように心がけましょう。
筋トレ
筋トレを行うことで、筋肉が付くだけでなく美肌にもなります。
筋トレによって、筋肉が増えることで、マイオネクチンという物質が多くなり、肌のシミの原因となるメラニンの生成を抑える効果があるのです。※10
また、肌の真皮が厚くなります。※11
真皮が厚くなると、肌の弾力性も増すので、見た目を若くみられるようになるのです。※6
実際に、定期的に筋トレを行なっている有名人や、ボディビルなどフィットネスの大会に出場している人を見ると、肌も綺麗で若々しく見える人がほとんどです。
このことからも、筋トレをすると、美肌効果が期待されます。
詳しくは、以前のブログにまとめているので、ぜひ参考にして下さい。
マッサージ
顔をマッサージすることは、美肌効果を高めることができます。
顔のマッサージをすることで、アミノ酸(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)の元になる繊維芽細胞を活性化させる効果があるのです。※12
美顔器など、高額な商品を使って効果は期待されますが、セルフで自分の手で顔をマッサージしたり、カッサやローラーなどを使っても十分効果的です。
タンパク質の摂取と併せて、肌を刺激して、美肌を目指しましょう。
美肌づくりには、タンパク質を摂取することが大切ですが、美肌づくりを更に加速させるために、積極的に顔のマッサージも行うことをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、タンパク質と美肌という観点からお話しました。
タンパク質は、身体を構成する重要な栄養素であり、不足しやすくなる栄養素でもあるので、食事で意識的に摂取する必要があります。
不足してしまうと、美容にも悪影響を与えてしまうだけでなく、身体の不調にもつながります。
そうならない為に、普段の食事からしっかりとタンパク質を意識して、食事をするようにしましょう。
参考文献
※1 e-ヘルスネット.たんぱく質.厚生労働省.2019-06-12.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html,(参照 2023-12-14)
※2 エスエス製薬.肌荒れの原因①ターンオーバーの乱れ.エスエス製薬.2022-03-01.https://www.ssp.co.jp/hythiol/troublenavi/roughskin/turnover.html,(参照 2023-12-14)
※3 e-ヘルスネット.アミノ酸.厚生労働省.2019-06-12.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html,(参照 2023-12-14)
※4 川島由起子.カラー図解 栄養学の基本がわかる辞典.第2版,株式会社西東社,2015,240p.978-4-7916-1999-3.(参照 2023-12-14)
※5 カンタン解説!アミノ酸.アミノ酸とは?.味の素株式会社.https://www.ajinomoto.co.jp/amino/about/aminoacids/,(参照 2023-12-14)
※6 日本食品基準成分表・資源に関する取組.日本食品基準成分表2020年版(八訂).文部科学省.2020-12-01.https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html,(参照 2023-12-14)
※7 国民健康・栄養対策の推進.国民健康・栄養調査.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html,(参照 2023-12-14)
※8 MENARD.成長ホルモンの美肌効果が加齢によって阻害されるメカニズムを解明.MENARD.https://corp.menard.co.jp/research/tech/tech_01_02.html,(参照 2023-12-14)
※9 大正製薬.睡眠ホルモン・メラトニンの力.大正製薬.https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/36/,(参照 2023-12-14)
※10 株式会社ポーラ化成工業(株)フロンティアリサーチセンター.“美肌体質の秘密ー筋肉が“鍵”を握ることを発見”.ポーラ化成工業株式会社.2018-09−25.http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20180925_3.pdf,(参照 2023-12-14)
※11 株式会社ポーラ化成工業(株)フロンティアリサーチセンター.“筋トレ(レジスタンス運動)が美肌を作る”.ポーラ化成工業株式会社.2020-10-16. http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20201016_05.pdf,(参照 2023-12-14)
※12 NOEVIR.コラーゲンやエラスチンを増加させる伸縮刺激条件を明らかに.NOEVIR.2014-12-12.https://www.noevir.co.jp/new/ir_info/pdf/per45/141212.pdf,(参照 2023-12-14)
著者プロフィール
佐藤 喜一
鍼灸師としての医学的観点とトレーナーとしての科学的視点をかけ合わせ「あなた本来の身体」へ導くパーソナルトレーナー
指導実績
トップアスリート、アーティスト、モデル、俳優などのトレーニング&コンディショニングを担当 これまでの経験を基に、トレーニングと鍼灸で1,000名以上の身体の悩みを抱える方々のサポートを行う
保有資格
◆はり師・きゅう師 ◆NSCA-CPT(認定パーソナルトレーナー) ◆FMS Level1 ◆テクニカ・ガビラン認定者